なぜハイヒールなのか☆

本題に入る前に少し下駄の話をしたい。この夏、私は下駄を一つ履き潰し、二足目は下駄の歯が根本からもげ、炎天下のアスファルトを裸足で走った。

下駄は表面が平らで硬いという点が特徴である。その上で足裏が存分に動ける。さらに囲いがなくオープンなので足先まで自由に使うことができる。鼻緒を掴んで、あたかも地面を持ち上げて歩いているような気分になる。反り返りやクッション構造がないので、接地の際は衝撃吸収に配慮が必要になる。

この下駄にはない路面の衝撃を吸収する機能を、身体内部でやってのけるため、繊細な動き方が要求される。同じことがハイヒールでもいえる。さらに足首を伸ばした位置で固定され、下駄よりも足首の動きが使えない。よほど骨盤と胴体部分をフレキシブルに使わなければ、膝や腰を痛めてしまう。

ハイヒールを用いて、身体の動き方を洗練することができる。岩の上でのダンスは、昔オフロードバイクで林道を走ってきて公道に下りたら、ずいぶん楽に乗れていた感じに似ている。路面が不安定になると、身体内部でのバランスが大切になる。サーフィンやスノボー、スキーなどと共にハイヒールウォークは、ほとんどスポーツトレーニングといってよい。