みわこさん 2017.1.11

みわこさんの表情に生気が現れている。そういうことが増えてきた。穏やかで静かに目を合わせる。挨拶をすると何か返答してくれた。言葉がその場面に適した内容になっている。感情が沸き上がるときは、ポーンと短い言葉が飛び出る。姿勢や動きとともに言葉が結びついているかのように。問いかけられて返事をする、自ら話し出す、いずれも思考を介すると異なる言葉が出たり辻褄が合わなくなる。表出した表現に自分で気づき戸惑う。

指先から、足先から動きの刺激を送る。パーツの繋がりとしての身体情報が感知される。身体を強張らせている緊張が解れていく。柔らかい体が前のめりになったり、どちらかに倒れていくのを全く修正しない。重心位置が変化しても頓着しないかのように。両手をつないでみると、押したり引いたりしてバランスをとろうとする。重心位置の変化はわかるのに身体が反応しないのだ。

右の脚全体が眠っているようにだらりとしている。右の踵だけ肥厚した角質に覆われている。それでも足先から動きの情報を送る。左脚からも同様に、骨盤へ向かって動きの情報を送る。骨盤が起きてくる。立ち上がるためのベースメントができてくる。

腰掛けた姿勢から、別の椅子へ移乗する。片手を移る先のイスの上、もう片方の手を今腰掛けているイスの上に置き、腰をゆっくりと介助して方向転換する。静かにスムースに移動すると、みわこさんに満足げな表情が浮かぶ。ご本人納得のパフォーマンス。初めて、”ありがとうございました !”、と言われた。身体動作と言葉との結びつき。

ここまで半年を費やしている。傍らで、娘のゆみさんがビデオ撮影している。毎回のレッスン風景を撮りためている。朝晩、母娘でレッスン内容を応用した練習を楽しんでいる。ゆみさんから得る情報は意表を突いている。みわこさんが、”ばかーっ” と叫ぶとき、幾つかの状況下で異なる表現をその一言で替えている事を教わった。そして、身体部位の緊張が解れる時、そこに溜まっていた感情も一緒に放出されるようだ、という。

逆に言えば,感情の蓄積が身体内部のあらゆる生命活動に支障をきたす、ということか。。